祖父や父が大切に育てた茶園を引き継ぎ、数々の大会や品評会で受賞。全国や海外へ販路を拡げている。
1967年、埼玉県で狭山茶を作っていた祖父が、より美味しいお茶作りを目指して日南市に移住したのが始まりです。父と母も一緒に北郷町の黒山を切り拓いたのですが、耕しても耕しても石しか出てこなくて、何度も諦めて帰ろうとしたそうです。
ただ、山の集落の皆さんが本当に 良い方ばかりで、身寄りの無い私たちをいろいろと助けてくれたんですね。その皆さんに恩返しをしないと、という一心で頑張ったと聞いています。
努力の甲斐もあり、標高350〜400mの傾斜地を活用してこだわりのお茶作りを続け、宮崎の茶業界で初めて有機JASの認証を取得することが出来ました。それを突破口に東京への販路開拓にも力を入れ、日本茶アワードのプラチナ賞など数々の賞も受賞することが出来ました。
私は6年前に父から事業承継し、これからも先代の想いを大事に美味しいお茶作りに励んでいきたいと思っています。
昨年のはじめに宮崎県農福連携推進センターから、何かお仕事はありませんか、とのお声掛けをいただきました。
最初は草取りなどの農作業を考えたのですが、茶園まで距離があることや、作業上の危険などもあるため、お茶の包材にシールを貼る作業をお願いできれば、とお伝えしました。いつもは社員が貼っているのですが、他の業務も抱えているため外注出来ればありがたいなと思いました。
その後、条件に合う事業所を探していただき、マッチングしたのが有限会社ゆめや(はぐるま工房)さんでした。ゆめやさんはお菓子を製造していて、大手スーパーへの取引実績があることが、うちも食品を扱う業種なので1番の決め手となりました。あと同じ日南市で顔が見える距離にあるところも安心できる点ですね。
最初に福祉作業所の担当者、吉村さんと面談して作業内容の打合せを行いました。その後作業場の視察もして、安心してお願いできる環境であることを確認できましたので、3月に「新茶シール」を貼るお仕事を依頼させていただきました。
慣れていただく期間も必要でしたので、約8000枚を1ヶ月で、という依頼内容でした。期限も守っていただき、大変丁寧な仕上がりでとても助かりましたので、夏にも「10g増量シール」を貼る仕事をお願いしました。
シールを貼る位置が一定になるよう、手作りの型枠を準備しました。クリアファイルを包材の形にカットし、シールを貼る部分を切り抜いてカラーテープを貼ったものです。
福祉作業所への外注は初めてでしたので、手探りではありましたが、この型枠は実際に活用してもらえて良かったと思います。
農福連携は未経験で、全く知識がなかったのですが、農福連携推進センターや地元支援機関の方々が親切にコーディネートしてくれる環境が大変ありがたいですね。
コーディネーターの方が間に入ってくれることで、どんな仕事ならマッチング出来るのか、現場に寄り添った提案をしていただけます。今後も利用したいと思っていますし、私たちの事例がきっかけとなって日南エリアでも農福連携の取り組みが進んでいくと嬉しいですね。