(石原さん)冷凍野菜の製造販売を行っています。
取扱品目は、ほうれん草、小松菜、枝豆、里芋、ゴボウなどで、栽培から加工、包装、出荷までを自社で一括管理しています。敷地内に残留農薬検査センターもありますので、農場ごとの残留農薬も検査しています。農場は約 750 箇所で年間作付面積は500ha。
ほとんどの農場が工場から30分圏内にあるため、収穫後速やかに冷凍加工することが出来ます。
従業員は全体で104名。そのうち農場で作物の生産を担当する農産部が18名です。加工や包装を担当する製造部が77名です。
(石原さん)以前は契約農家さんから野菜を仕入れて加工していましたが、18年前から自社栽培への切り替えを行い、2014年には自社農場100%になりました。
契約農家さんの高齢化や担い手不足もあり、冷凍野菜の安定供給を図るための転換でした。その後も畑を借り受けたり耕作放棄地を耕したりと増え続け、当初100haだった自社農場が現在は5倍になり、18名の農産部メンバーで管理しています。
(吉川さん)自社農場が増えていく中で生育状況をしっかり把握するにはデジタル化が必須になり、自らシステムを作りました。農場全てに看板を立て、農産部員は支給されたスマートフォンで看板のQRコードを読み取って作業記録や生育状況、散布した農薬の量などを登録します。以前は会社に戻って日報を記入していましたが、今は直行直帰が出来るようになり、作業計画に基づくノルマを達成すれば良いので勤務時間もそれぞれ自由です。畑の履歴や作業報告など全業務をシステム内で管理しているので、うちでは紙で出力する資料は無いんですよ。
また、昔は大勢で手摘みで収穫していましたが、現在は収穫機を導入して、ほうれん草では5名で150aあたり約30トンもの収量を上げれるようになっています。他にも全自動や冷暖房完備のトラクターも完備していて「畑に足をおろさない農業」の実現にも取り組んでいます。地面に降りるのは畑のQRコードを読み込む時くらいかもしれないですね(笑)また、機械を大切に扱って欲しいという思いから、トラクターなどは「土足厳禁」にしているのは弊社ならではの取組かもしれませんね。
畑に立ててある看板のQRコードを読み取って、作業記録を入力。畑の状況がリアルタイムに社内で共有できます。
収穫した作物をフォークリフトで持ち上げると自動で計算。スマートフォンでデータを入力します。
(石原さん)工場は女性が多いのですが、みんな活発に意見を出し合います。
例えば背が低い人が野菜の選別をする時に、作業しやすいよう工務の人が台を作ったりなど、どうしたら効率よく作業が出来るのかをそれぞれが考え、現場で改善していく、意見が言い合えるフラットな関係性が築けていると思います。
面白いのは、工場内でトラブルが発生すると機械を停止させて調査をするのですが、その時の音楽が「踊る大捜査線」なんです。
ハプニングも楽しんでいる雰囲気です(笑)
従業員みんなの工夫で工場内のラインはたえず改良されています。
(石原さん)農産部については、実家が農家の人などに学びの場として活用してもらってもいいなって思っています。大型免許など様々な免許取得も会社で支援しますし、最新型の農業機械やスマート農業など他にないことを体験できるメリットがあります。ぜひ女性にもチャレンジして欲しいですね。
(吉川さん)頑張っている人がちゃんと評価されることがやる気にも繋がりますので、相互評価や面談、技術の確認などを定期的に行っています。
やはり「良い物を作る」ということがうちの会社の1番重要な使命ですので、野菜のことももっと勉強をして、知識も育てていけるよう、教育や育成にも今後力を入れていきたいと思います。
自社システムを構築した吉川幸一さん(右)と運用をサポートする石原祥子さん(左)
農産部の担当者が畑からスマートフォンで情報を登録。畑や作物の状況がリアルタイムに把握できます。
従業員数:104名(うち農産部18名、製造部77名、検査室、その他9名)
栽培面積:500ha