山本英則(やまもとひでのり)さん
8年前までは会社員として働いていました。祖父の代から農家なのですが、父が体を崩してしまったので48歳で早期退職をして、農家を継ぐことを決意しました。兼業も考えたのですが、職場が宮崎市で時間も不規則なので、農家一本に絞ることにしました。今はJA延岡の玉ねぎ部会の副部会長もしています。
新玉ねぎは20年以上前から延岡の特産ということで、うちでも生産しています。
延岡市の特産「新玉ねぎ」
うちでは玉ねぎを手作業で収穫しています。1列1,800本×11本列、約2万個の玉ねぎを全部人力で抜くのですが、これまでは妻と2人でやっていたので本当に大変でした。去年福祉施設にお願いした際には、7名ほどお手伝いに来てくださってとても助かりました。
約2万個の玉ねぎを夫婦2人手作業で収穫していた。
玉ねぎを出荷する前にサイズを測って、Sサイズ以下のものは規格外という事で仕分けします。また市場に出回る前に、葉の部分が長すぎるとJAの選果場で機械に引っかかってしまうし、切りすぎるとばらけたりしてしまうので、その微妙なニュアンスを伝えるのが難しいんですよね。玉ねぎを抜く作業だけでも十分な戦力になるので、今回は切る作業は頼みませんでした。
集中力の継続性に驚きました。一緒に来られている職員さんが声をかけるまでは、黙々と作業をしてくれるんですよね。みんなでニコニコしながらやってくれている姿を見るとこちらも嬉しいですし、どうせやるなら楽しく仕事した方がいいですね。まだスタートしたばかりなので、様子を見て、今後もいろいろな作業をお願いできればと考えています。
直接福祉事業所さんに連絡をとるというのが、農家さんからすると一つの壁だと思います。事業所と農家の間に公的機関が入って、コーディネートしてくれる方がいたりするといいかもしれません。ともかく今は高齢化が進んでいて、慢性的な人手不足なので、制度が整えば利用される方もかなり増えるのではないかと思います。
「農福連携には公的機関のコーディネートが大事」と語る山本さん
延岡市農林水産部 農業畜産課 農産園芸係
川西宏和さん
昨年度ですが、延岡市農業労働力確保対策協議会の事業で福祉事業所と農家さんを引き合わせるための農作業体験会を行いました。事業所にとってはどんな作業をするのか、農家さんにとっては何を頼めて、どれくらいの料金がかかるかが不明瞭な部分。そこで実際に事業所の職員さんと農家さんが情報交換をすることで、理解を深めてもらうことが目的です。
参加した事業所さんと農家さんが実際に連携を始められたので、やって良かったと思います。お互いに頼みたいとは思っても、分からないことが多いという方たちを、協議会としてもサポートしていければと考えています。
9月に種をまいて通常5月がピークで延岡は1月から収穫できるので、他の産地から出荷が始まる前に、出荷をスタートさせています。空飛ぶ新玉ねぎは、延岡にとって大切なブランドです。福祉事務所さんが、多くの労働力が必要となる収穫作業を手伝ってくれることで、この大切な玉ねぎの産地を守ることがで出来ると共に事業所さんの社会参加の場を提供することにも繋がるのでお互いにとって非常に良い取組ではないかと思います。
最近では、農業関係者だけでは人手をまかないきれないので、異業種からの労働力の確保ができないか色々と施策を実施しています。「お試し就農」という形で、トラクターなどを扱える担い手を増やすためのオペレーター体験会も開催しました。
この取り組みはNHKでも取り上げられたのですが、延岡は旭化成の企業城下町ということもあり、旭化成のOBの方がたくさんいらっしゃいます。そういった方々に農業に参加してもらうことはどうかということで取り組みを始めました。機械を持ってらっしゃる農家さんにお願いして、この体験会を2回実施しました。体験会をきっかけに大型特殊免許を取られた方もいらっしゃいました。
結果的に、農家さんから依頼を受けて、そういった方々が農作業を手伝ってくれるようになり、労働力不足の解消に繋がることを期待しています。また大学生や主婦等の方も、こういった体験会を通して農業に興味を持って頂けたらと思っています。
収穫を待つ新玉ねぎ
延岡市農業労働力確保対策協議会
〒882-0813 宮崎県延岡市東本小路2番地1
TEL:0982-22-7018